第1章 最初の1歩を踏み出して
間宮くんは転校生ということで、やはりクラスメートに席を囲まれ質問攻めに遭っていた。そんなことには目もくれないわたしは、七海ちゃんと適度にお喋りしながら課題のプリントに取り組んでいる。
「…ところでいつだったっけ、ひなが元彼と付き合ってたのって」
「2年も前の話を今更引っ張り出されても……」
そう、2年前。わたしは同じクラスの男の子と付き合っていた。当時は付き合っていて楽しかったのかもしれないけれど、今となっては良い思い出があまり見つからない。はっきり言ってつらかった、と思う。
「…あんまり話したくないんだけどなぁ……」
「…そっか…ごめん。ひなならきっとすぐに彼氏できると思うんだけど…」
ごにょごにょと何か呟く七海ちゃん。今は“恋人がほしい!”と強く願っていないから、七海ちゃんの気持ちには応えられない。