第1章 最初の1歩を踏み出して
…でもやっぱり、恋には憧れがある。
大好きな人と一生一緒にいられるような、とびきり綺麗な恋愛がしてみたい気持ち、捨てられずにいるなぁ…
ふと見た窓から差し込む光が眩しくて、一瞬だけ錯覚した。
転校生の恭くんが、きらきらしているのかな?なんて思った。そんなことは全く無いのだけど。
わたしの視線に気づいてしまったのか、恭くんが首を傾げる。それすらも絵になるような気がした。
一瞬だけ、この人の持つ輝きが怖くなって思わず目線を逸らしてしまった。
「どうしたの?」
窓の外に何かあった?と聞いてくる恭くん。
首を横に振ると、くすくすと笑われる。
「いや、ごめん。ちょっと可愛くて」
「…!!」
ころころと表情が変わるわたしのことが面白かったのだろう、恭くんはみるみるうちに笑顔になった。
それにしても、可愛い、なんて…
そんな簡単に言えるような言葉じゃない。
というかわたしは可愛くなんてないもん…!