【NARUTO】0.01の世界で【カカシ(六代目火影)】
第1章 first
解かれた髪がサラサラと顔や背中に落ちると、芳しい花のような香りが鼻腔を擽り、カチャリと眼鏡を閉じる音が響けば、美しい長い睫毛の瞳が現れた。
「なんで、って?」
カカシは椅子をクルリと回転させて、彼女の方へ向き直った。
の手を掬ったカカシの大きな手が、彼女を導くように軽く引く。
それに従って、ゆっくりと進められるの足。
カサっと紙を踏み締める嫌な音が響いた。
ビクッと肩を揺らして歩みを止める…その足元には、何枚も散らかった書類が落ちていた。
『あっ!ごっ、ごめんなさ…』
「だいじょーぶだよ。全部パソコンに入力済みだから… そのまま真っ直ぐこっちへおいで」
カカシは三日月のように笑い和めた目を向けて、再びの手を引いた。
『……同情…ですか?』
「んーちょっと違うかな」
『なら…謝罪?』
「それは当たりかもしれないね」
カカシの元へ辿り着いたは、カカシの膝の上に座り込む。
自分からそうしたのではなく、彼自身がそう導いたのだ。
「恥ずかしい?」
『そりゃ恥ずかしいです』
「顔真っ赤だもんねぇ。でも、オレも多少赤いハズだよ」
『六代目が? …そんなの絶対ウソです』
「なら、確かめてみて」
はその言葉に、キュッと下唇を噛み締めた。
…彼女は今、視力0.01以下の世界にいる。