第3章 夢と塔と日常
「そうだった…忘れてた…」
遊園地は普段とは一味違う恐怖体験を味わえる場所だ…
最初ここに来た時の事をすっかり忘れてた…
だから…普通に娯楽施設に行く感覚で来てしまった…
「次は…どれに乗ろうかしら?」
「あっ!ねえ、アリス!あれは?」
前回乗ったジェットコースターの隣にあるアトラクションを指さした…
普通のコーヒーカップのアトラクションだ…
「良いわね…乗ろうか…」
このアトラクションなら…安全なはずだ…
安全なハズなのに…
「なにこれ!!」
「…」
動き出した途端、コーヒーカップが飛び跳ねながら回っている…
ある意味、この間のジェットコースターよりも怖いんですが…
一体この遊園地には…安全なものが無いのかな…?
「おー!楽しんでるな」
おー来たか…
「ゴーランド…」
「スノウ…今にも死にそうな顔してんなー」
当たり前でしょうが!!
何でこの遊園地は…殺人兵器になりそうなアトラクションしかないんだ!!
脱線事故がいつ起きるか分かったもんじゃない!
しかも、ボリスが改造したアトラクションがある事自体が恐怖だ…
絶対、ボリスには改造させない方が良いと思う…
この間だって…
ドカン…
「あ~また脱線したか…」
ほらね、また脱線した…
安全装置を付けないアトラクションはボリスが改造したものだ…
あっでも…これって夢だからな~
夢だったら、脱線事故が起きても大丈夫…なのかな?
それにしても、この遊園地って…
小さい頃家族で行ったところと似てる…
って私とアリスの夢なんだから、そりゃあ似てるか…
アリスの夢も共有してるって事は…
…
あれ?そういえば、アリスの滞在地に居る…
そういえば、良く似てるかも…
なんで最初に見た時に気が付かなかったんだろう…
…
…
「スノウ?どうしたの?」
「あっ…ごめんごめん!考え事してた!!」
まあ、似てるってだけだから…別人よね?
名前も違うし…
「次のアトラクションだよね?行こう!!アリス!ゴーランド!」
「わわっ!ちょっと待てって!」
「そんなに走らなくても、アトラクションは逃げないわよ!」
そんな事は分かってるけれど…
小瓶の中身も溜まって来てるし…
でも、時間を大切に使いたい…
早く夢から覚めたいけれど…ね…
お父様やお母様が起こしに来ないと良いけれど…
だから…もう少しだけ…寝かせて…
