第2章 merry you
有言実行。
俺は翌日から熱愛報道はあえて否定せず、むしろパパラッチがいることをわかった上で護衛対象だったり、他事務所の女ヒーローと肩を並べるようになった。
自分で言うのもなんだが俺は個性も見た目も、言動も相俟って非常に目立つ。
今までは一応、凛に配慮していたのがなくなった分、週刊誌を賑わすことがぐっと増えた。
ほぼ日替わりで更新されるネット記事や週間記事。
これは凛も平常心ではいられないだろう。
頬を膨らませて怒る凛の姿が容易に想像できる。
「かっちゃん」
そらきた。泣いて縋れや。
「すごいねかっちゃん。今集計してたんだけど、今日の新人ヒーローとの熱愛記事でこれまでのヒーローたちの女性スキャンダル数を超えたんだよ。ちなみに啓悟さんは今まで一度も」
「死ね」
BOOOOOOOM!!!
このクソ凛がァ…!テメェ仮にも彼氏が浮気してるっつー報道だぞ!何集計してんだ暇人か!?働けもっと!つか彼氏の前で間男の話すんなや!!!
脳内にノンストップで罵詈雑言が並ぶが、そのどれもが言葉にならずに喉奥に消えていった。
あと仮にってなんだ仮じゃねぇわ!世間に公表はまだしてねぇが同棲してんだ彼氏に決まってんだろ!
俺は断じてこんな尻軽女、好きだなんて微塵も、微塵も!思っちゃいないが、こいつは俺が好きなんだ。だから付き合ってやってんだ。
爆破された顔を痛いよなんて摩りながら、それでも凛の手元はノートパソコンを叩くのをやめない。
集計結果を書き込んでいるらしい。死ね。
こんだけ報道されてもそれか…そっちがその気なら…本当にしたるわ!