第5章 Tell me cute
「ってことを思い出したんだけど」
あの時ってもう付き合ってたの?
と啓悟さんは焼鳥を頬張りながら聞く。
酷く懐かしく恥ずかしい話をされた。
確か、あの頃は興奮のあまりあの日のうちに啓悟さんに事細かく報告したんだっけ。
まだ学生だったとは言え何て恥ずかしいことをしてるんだ。
「…でした」
「ん?」
「付き合ってませんでした」
そう。高2から高3にかけてはキスはするけどその先に進まない。
付き合ってはいないが出掛けたりするという曖昧な時期だった。
今思えば何ともまあ不思議な関係だったが。
「あれか、友達以上恋人未満ってやつ?」
コクリと無言で頷くと、次に啓悟さんは私の隣に居るかっちゃんに視線を向けた。
「よく我慢出来たね。俺なら絶対手出す」
「うるせえ昔のこと蒸し返すんじゃねーよ!!!」
顔を赤くして怒るかっちゃんに啓悟さんは記憶力を言いからと笑う。
「ってかテメェだったんか、あん頃の凛の服選んでたの」
「そー。凛ちゃん何着ても似合うから。可愛かったでしょ?」
「っあぁ!腹立つほど可愛かったわクソが!!!」
「っかっちゃん」
あまりにかっちゃんが大声で叫ぶものだから、いくら個室だと言えども恥ずかしい。
かっちゃんの服の袖をギュッと掴むと舌打ちをしながらも大人しくしてくれる。
それを見てケラケラと笑う啓悟さんをかっちゃんが睨みつけたがその顔はまだ赤い。
「啓悟さんっ」
「ごめんて。けど、凛は今も昔も可愛いよ」
その言葉に照れた私を見てかっちゃんがブチ切れるまで後5秒。