第5章 Tell me cute
そんなこんなでやってきた当日。私はさっそくホークスと買ったワンピースを着て髪を精一杯梳かしてハネを抑える。そろそろ行こうと立ち上がるとスマホに通知がきた。開いてみるとホークスから「健闘を祈る!」というメッセージときていた。そのメッセージに胸がじんわりと暖かくなる。よし、と意気込み私は慣れない口紅を塗り部屋を出た。
「あー、じゃあなんか飲みもの取ってくる」
「うん」
パタン。閉まったドアの後に響いた階段を降りていく音を聞くと私はすぐに行動にうつした。
はやくなにか手掛かりを見つけないと。かっちゃんに部屋いじくりまわしただなんてバレたら殺される。
ここはまず定番のベッドの下から覗いて…とその考えは正解だったようで大きめの箱が出てきた。
躊躇せずふたをあけるとでてきたのはDVDと雑誌だった。
それがなにか理解した瞬間カッと顔が赤くなる。
DVDと雑誌とはいわゆるAVとエロ本と呼ばれるものだった。
「かっちゃんも男の子だから持ってるよね」
どきどきしながら見てみるとみんなブレザーやセーラー服を着ていて学園ものばかりだった。
よかった、これで人妻ものが出てきたらもう私にはどうしようもなかった。
凌辱ものや集団痴漢ものや寝取られ、いろんな種類があるんだなあと見ているとふと、ある共通点に気がついた。
それは半分以上同じ女優どということだ。
偶然で同じ女優ばかりが集まるはずがない、きっとかっちゃんはこの女優が好きなんだ。
そう考えつくとすぐにパッケージに大きく書いてある名前を頭にインプットする。
部屋に戻ったらさっそく検索しようと思っていると足音が聞こえてきた。
急いで片付けてもとに戻すとちょうどかっちゃんがドアを開けた。
ずかずかと入ってきてオレンジジュースが入ったコップを無言で差し出してくる。
ありがとう、と言うとかっちゃんは私の隣に座った。