第3章 merry you〜after〜
「っかっちゃん」
「んだよ」
「…これ、いや」
いつものがいい。と凛は聞こえるか聞こえないかくらいの声量で言う。
いつものというのは正常位やバックのことだろう。
そこらのモブが飛びつきそうなメリハリのある柔らかな肉付きの身体に整った顔をしている凛は、そういう類いに人気がある。
魅惑のルージュ。
なんて妖艶な見た目と憂いのある仕草にメディアが大層な呼び名をつけたが、あながち間違っていない。
「いつものって何だよ。言えや」
「…いじわる」
軽く頬を膨らませて俺を見る凛は確信犯だ。
こうすれば俺が諦めると思っているのを理解しているが無意識に手が強張る。
普段なら、この顔に弱い俺が凛が動かなくてもいい体位をしてやるが、今日は違う。
そもそも、今までがおかしかった。
なんで俺が必死に腰振ってコイツを気持ちよくさせなきゃならねえ。
気持ち良くないのかと聞かれれば凛の中は最高に気持ちがいい。
だが、この俺が、抱いてやっているのに!!
こいつはいつも俺の下で鳴くだけだ。
初めて凛を抱こうとした時は、凛が「や、優しくして」なんて目を潤ませて言いやがるから童貞みたく鼻血を出し不甲斐ないことになったが…。
「はよ動けや」
凛、今日は、テメェが何と言おうとも、絶対に譲らねえ。