第2章 merry you
「…どうして」
なんでほかの人と。
消え入りそうな声がぼやく。
今まで分厚い殻に覆われていたの凛を本音を、初めて聞いた。
「かっちゃんのこと、好き。愛してる。でも、かっちゃんは好きとか言ってくれないし、初めて熱愛報道が出た時だって、何も言ってくれない…だから、かっちゃんにとって私って、なんなのかなって」
どんどん声が小さくなっていく。
俺は凛が何の反応もしないことにいら立っていたが、凛も同じことを考えていたようだ。
ぎゅう、と心臓が痛んで、俺は凛をのサラサラの髪に手を伸ばした。
本当は抱きしめたかったが、まだそれは許されていないような気がした。
久しぶりに触れた髪は、相変わらずきめ細かく柔らかい。
髪を撫でながら名前を呼ぶと、凛をがくしゃりと表情をゆがめて、そっと身を寄せてきた。
久しぶりの体温、そして凛をの匂い。
「…テメェが、嫉妬するかと思った」
「なに、それ…ばか」
「ああ、馬鹿だった」
震える華奢な体に、おそるおそる腕を回す。
凛をは嫌がらず、むしろ俺の胸元に縋り付いてきた。
抱きしめることを許されたことに感動し、赴くままぎゅう、と力を込めた。