第1章 理想のペアとさつきたち
「丸井さん、木手さん、あとは私たちに任せて下さい。さつきちゃん」
桃子がお札、
「うん!」
さつきが数珠と少女の母の日記帳を手にします。
「オレ様も加勢するぜ。こいつには借りがあるからな」
ここでオッドアイの黒ネコが丸井と木手の間を通って現れ、理想のペアは驚いていました。黒ネコはさつきのペットのカーヤですが現在、天の邪鬼が取り憑いています。
「天の邪鬼、いたんなら、丸井さんと木手さんをさっき助けてくれたって良かったじゃない」
さつきが両手を腰にやり、黒ネコ姿の天の邪鬼を睨みました。
「ふん、誰が小僧たちの助けなど。それにオレ様を誰だと思っている」
「性格まであまのじゃくだろい。というか、ネコがしゃべってる……」
と、丸井です。
「甲斐くん、その辺で何をこそこそ黒ネコの腹話術をしているのですか」
木手は目の前で起こっていることをまだ合宿所の仲間の誰かが脅かして仕組んでいると思っていました。
「お前もいい加減にしろい、木手ぇ~」
「天の邪鬼は手を出さないで。せっかく今、闇目がおとなしいんだから」
「手を出すなと言われると出したくなるね。だが、オレ様は馬鹿じゃない。闇目が刺激するほど厄介な妖怪だってことは知っているからね。お前たちで好きにしな。封印に失敗してもオレ様は助けないぞ」