第1章 理想のペアとさつきたち
その後、丸井と木手はさつきたちにUー17合宿所内を案内するのでした。
さつきたちはU-17合宿所のことを学校みたいと口をそろえて言っていました。
「ちょっと訊ねてもいいですか?」
さつきが丸井の方を向いて聞き、
「ここってちなみに妖怪なんて出たりしますか?」
ハジメは木手の方を向いて聞きます。
「妖怪……」
木手が考え込んでいると、丸井が思い出したか、ぽんと手を打ちました。
「そういやぁ、赤也が落ち武者の幽霊が出たって言ってたな」
「へえー」
これはさつきが、
「そうなんですねー」
こっちは桃子が丸井の話に関心を持ちます。
「ふん、落ち武者なんているわけがないでしょう」
両腕を組み、鼻で笑った木手です。
「さつき、闇目は落ち武者の幽霊の出たところに逃げたかもしれないぞ」
「この子、信じてる……」
落ち武者の幽霊が本当にいると思っているハジメにぼそっと丸井はつぶやきます。
「あの、落ち武者が出たところ、案内してもらえますか?」
「お願いします」
さつきと桃子も落ち武者の幽霊を信じていたため、丸井と木手は顔を見合わせたあと、渋々案内をしました。