第31章 映画館で悪戯される / ※微裏
映画が始まって、しばらく経った。
この映画館は小さくて椅子と椅子の幅が狭く、座席の肘掛けもない。
だからー
『……っ⁉︎』
突然、太腿あたりを撫でられた。
バッと隣を見ると、いかにも俺じゃねぇみたいな感じでスクリーンを見てるけど、左手は完全に私の太腿にあった。
『…どう、したのっ///』
「……」
もちろん小声で話すけど、勝己くんは無視。
最初は手を繋ぎたいのかな、なんて自惚れたことを思っていたけど、外側から内側へと撫でられて、際どいところまで手が這っていく。
私は、手を掴んで離れさせようとするけど、やっぱり敵わなくて、逆に手を掴まれる。
「抵抗、すんじゃねぇ、…」
『…何言って…んんっ///』
気づいたら顔を向けられてキスをされていた。
『…んんっ…っふ』
それも軽いキスじゃなくて、深い方のキス。
映画館には誰もいないわけじゃない。
私たちが座っている列は誰もいないけど、前の座席にはそれなりに人がいる。
けど、勝己くんのキスは相変わらず気持ちよくて、その気になってしまうのを堪える。
『…んっ、はぁ…っ///』
ちゅっと唇を吸われて離れる。
周りに気づかれていないか心配だったけど、映画の音の方が大きいし、みんなスクリーンに夢中だから大丈夫みたいだった。
『…〜っ/// え、映画、見たいんだけどっ!』
「……もう、しねぇから、見とけや」
そう言うと勝己くんは、スクリーンに顔を戻す。
最後のニヤリ顔が怪しかったけど、気にせず私も映画に集中した。
映画も中盤に差し掛かろうとした時だった。