第13章 虹色の縁(えにし)
「あ、軒猿で思い出した!光秀さんや政宗、家康の忍の皆さんも今日ついてくれてるんでしょう?」
『そうだが、それがなんだ?』
「ご挨拶しなきゃね。軒猿の皆さんには、前に夜襲の時に助けて頂いたからお礼しなきゃ。」
『…は?』
『忍に挨拶や礼って…、。』
「えぇ。だってありがたいじゃん!」
『くくっ。忍を並ばせるのか? それはそれで圧巻だな。』
「駄目なの?佐助くんに聞いてみよ。」
『ふっ、好きにしろ。見えたぞ。』
「あ、ほんとだ!咲ぅー!」
『ほんと、不思議だね、あんたは。』
『想像の上を行く。』
『だから飽きなくておもしれぇ。』
『どんな書物よりも興味深い。』
『危なっかしいけどな。』
『どの貴様も、全て愛らしい。』
「もぉ、なんなの?皆して。照れちゃうから!
…あ、咲に輝真くんの事話さなきゃ!
ねぇ、輝真くん袴とか持ってるかな?」
『…は? 仕立てるつもりなの?』
「え、持ってなさそうなら…。うん。仕立てようかな。」
『、最初から贅沢はさせられないからな。少し安定してからだ。修行の身だからな。』
「へぇ、そっかぁ。じゃあ、誕生日教えてもらおっ!」
『始まった…』
「家康、なによう。」
『別に。』
「あ、初任給とかあるの?」
『小遣いくらいかな。』
「じゃあ、初任給にお母さんに贈り物ってのもいいねぇ!」
『はいはい。』
『ほら、着いたぞ。』
また政宗が先に降りて手を伸ばしたので、私は腕の中に飛び込んだ。
『様、こちらです!厚手の座布団と膝掛けを用意してあります。』
「あ、ねぇ。咲!聞いて、さっきねぇ…。」
『あっちはまだ来てないの?』
『さ、仕上げだな。家康、手伝え。』
『なんで、俺が…。』
『三成、こっち来てくれ!』
『さて、酒の準備でもするか。』
『…なんとまぁ、それは素晴らしい出会いでしたね。さ、白湯をどうぞ。』
「ありがとう。暖まるぅ。」
遠くから蹄の音がした。
皆が同じ方向を向いたので、きっと謙信様達の到着なんだと思った。
春風みたいにふんわりと、私の髪を風が揺らす。
楽しいひとときが始まりを告げるようだった。