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暁の契りと桃色の在り処 ー信ー

第12章 限られた時間


『そうか。では、家康に聞いてみることにしよう。』

すぐに受け入れてくれた信長様の腕のなかで、ふわっと眠りに誘われる。

『貴様に触れられないのは辛いな。』

「えっ。口付けなら大丈夫って…」

『足りん。口付けが深くなれば、全てを食らい尽くしてしまいたくなる。』

「そっ、それは… 家康に叱られます。」

『だからだ。』

信長様が私の胸に顔を埋めた。

『貴様の音がするな。』

「はい。」

『俺を悪夢から救いだした音だ。』

「はい…。」

ちりっと痛みが走ったのは、私の両胸の間。

『おれのっ… ものだ。』

「未来永劫、貴方のものです。」

信長様の顔が近付いて、唇が重なった。
優しく食むように、優しく食べ尽くされて。

互いの熱で満たし合うように、私達は抱き締め合って眠りに付いた。







『…駄目です。』

『はぁ。どうにかならんか。』

『領地とはいえ、あの丘は城からも離れております。何かあってしまったら…』

『秀吉さんの言う通りです。』

私の我が儘についての話し合いは、いつもの軍議よりも長かった。

『まぁな。こればっかりは…、俺も心配だ。』

政宗までもが、難しい顔をして腕をくんだ。

「子が産まれる前に、もう一度行きたくて。信長様と過ごしたかったから…」

『だけどさ。』

ふぅっ。信長様が長いため息を付くと、天井を見上げた。
くくっ。何故か光秀さんが笑い出した。

『光秀、なに笑ってんだ?』

『秀吉、気付かないのか?』

『はぁ?』

『…佐助。何か案はないか?』

『『さ、佐助?』』

カタン

「佐助くん!」

『お久しぶり。さん。』

『お前、何時からいたんだ!』

『の話をし始めた頃からだ。』

『気配は消していたんですが…』

『誰の城だと思っている?』

『失礼を。こちらは越後の地酒です。快気祝いに。』

ガチャン!

『貴様っ、何をどこまで知っている?』

「み、みんなっ!」

『最近の城内や御舘様の事は限られたものしか知らんはずだ!』

『事が漏れれば一大事だぞっ!』

秀吉さん、政宗、家康、三成くんが厳しい顔をして、今にも抜刀しそうだった。


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