第12章 限られた時間
『そうか。では、家康に聞いてみることにしよう。』
すぐに受け入れてくれた信長様の腕のなかで、ふわっと眠りに誘われる。
『貴様に触れられないのは辛いな。』
「えっ。口付けなら大丈夫って…」
『足りん。口付けが深くなれば、全てを食らい尽くしてしまいたくなる。』
「そっ、それは… 家康に叱られます。」
『だからだ。』
信長様が私の胸に顔を埋めた。
『貴様の音がするな。』
「はい。」
『俺を悪夢から救いだした音だ。』
「はい…。」
ちりっと痛みが走ったのは、私の両胸の間。
『おれのっ… ものだ。』
「未来永劫、貴方のものです。」
信長様の顔が近付いて、唇が重なった。
優しく食むように、優しく食べ尽くされて。
互いの熱で満たし合うように、私達は抱き締め合って眠りに付いた。
※
『…駄目です。』
『はぁ。どうにかならんか。』
『領地とはいえ、あの丘は城からも離れております。何かあってしまったら…』
『秀吉さんの言う通りです。』
私の我が儘についての話し合いは、いつもの軍議よりも長かった。
『まぁな。こればっかりは…、俺も心配だ。』
政宗までもが、難しい顔をして腕をくんだ。
「子が産まれる前に、もう一度行きたくて。信長様と過ごしたかったから…」
『だけどさ。』
ふぅっ。信長様が長いため息を付くと、天井を見上げた。
くくっ。何故か光秀さんが笑い出した。
『光秀、なに笑ってんだ?』
『秀吉、気付かないのか?』
『はぁ?』
『…佐助。何か案はないか?』
『『さ、佐助?』』
カタン
「佐助くん!」
『お久しぶり。さん。』
『お前、何時からいたんだ!』
『の話をし始めた頃からだ。』
『気配は消していたんですが…』
『誰の城だと思っている?』
『失礼を。こちらは越後の地酒です。快気祝いに。』
ガチャン!
『貴様っ、何をどこまで知っている?』
「み、みんなっ!」
『最近の城内や御舘様の事は限られたものしか知らんはずだ!』
『事が漏れれば一大事だぞっ!』
秀吉さん、政宗、家康、三成くんが厳しい顔をして、今にも抜刀しそうだった。