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暁の契りと桃色の在り処 ー信ー

第11章 たとえば 私が


『お前、咲の所で正座してきたら?』

『よいしょっ。』

秀吉さんが信長様を担ぎ上げて、ゆっくりと部屋へ向かう。

『あんた、やっぱり天女なんじゃない?』

「え、なんで?」

『信長様を抱き締めたあんた、陽の光に当たってすごい綺麗だったから。』

「そんなことないでしょ。」

『なぁ、。お前身籠ってから変わったよな。』

「な、何が?」

『あぁ、政宗の言う通りだ。変わったな。』

「えぇ?あ、光秀さん、吐いてたし…。痩せたからじゃないですか?」

『いや、纏う気が変わったよ。』

『あぁ、家康の言う通りだ。』

『『神々しくなった。』』

政宗と光秀さんが口を揃えて言ったのは、予想以上の言葉だった。

「そんな、すごくないよ。」

政宗に脇を抱えられて立ち上がると、優しく微笑む家康と光秀さんと目があった。

『信長様の奥方があんたじゃなきゃならなかった理由、わかった気がした。』

『神に選ばれ時を越えたのだろうな。』

『様。行かれますか?』

「咲。」

『もう、あんたがいないとまた暴れだしそうだし。行くよ。』

「…うん。」


前を家康が歩いて、両脇を政宗と光秀さんが支えてくれた。
いつのまにか太陽は見上げる高さに昇っていた。
きらりと光ったような気がして、庭に目を移せば、見えたのは朝露に濡れた福寿草。

幸せの鐘のような小さな花が沢山咲き乱れていた。

悪夢は終わり 幸せの始まり

そんな囁きが、風にのって聞こえた気がした。





ぽちゃん


「あ。」

『なに、ほら。余所見したら転ぶから。』

「なんか、お腹が…」

『え?…!痛いの?』

『痛むのか?』

『無理するな、抱くか?』

「違う、ふっ、ふえっ。」

涙が関を切ったように溢れだした。

『な、どうしたのさっ?』

「お腹の中で、なにかが弾けたみたい。」

『なんだ?…それ。』

『どういう事だ?』

『まっ、まさか!それって、!』

「うん、うん!家康!」

『あぁ、…いるんだね。ちゃんとそこに。』

「うん。ちゃんといる。いてくれてる。」

『なんだよ、家康?』

政宗と光秀さんは、まだはっきりわからないようで顔を見合わせている。

『政宗さん、光秀さん。胎動ですよ。腹の子が動いたのがわかったんです。』











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