第11章 たとえば 私が
私がここに来た意味はなんだろう
なぜ
私が選ばれたのだろう
透き通る蒼い空を見上げて
眼を閉じて
息を思いっきり吸って吐き出して
周りを見渡すように眼を開ける
故郷の喧騒は聞こえなくて
石垣の塀より高い建物も見えなかった
私はなぜ時を越えたのだろう
胸の中にぽっかりあいた穴に
冷たい風が吹き込んで
声にならない叫び声をあげようとする
ふわり
貴方の香りがして
あいた穴を塞ぐように包み込む
貴方は全て知っている
私の中の暗い所も
それでも貴方は 私を
陽の当たる場所に引き連れて
私の居場所を示してくれる。
だから、きっと
後悔しない