第8章 福を呼ぶのか、闇を呼ぶのか
あれは誰だろう。
私の愛する人?
それとも、私を殺そうとする人?
やめて。私は間者じゃない。
貴方と永遠を誓ったはず。
どうして 手を繋いでほしいのに振り払うの?
抱きしめたいのに 刀を向けるの?
『!! 息をしてっ!
気をしっかり持つんだ!子に障る!咲、何があったの?』
『おい、どうした?の目、虚ろじゃねぇか。』
『夢の話をしてらっしゃいました。』
『夢?…さっきのか?』
『明け方の夢は正夢になるのか、と。』
『正夢になるなど迷信、でしょう。』
『…なんだかよくわからねぇが、かなり良くない夢を見たようだな。』
『三成様の仰るとおり迷信だと、お伝えしたのですが、…段々と苦しまれて。』
『政宗さん。冷たい水で手拭い冷やしてきてください!
!聞こえる?息を止めようとしちゃダメだ!子がダメになる!』
『様っ!』
底のない闇に落ちそうで、
光がだんだん消えていくようで
家康と政宗、咲、三成くんの声が聞こえる
目を開けているのに見えにくくて
息をしたいのに苦しくて
まるで本当に 首を絞められているみたい。
ズキッ
「うぁっ!」
針で刺された様な痛みがお腹を襲う。
『!わかる?息をして!』
「家、康…。」
『?』
「お、…た、い。」
『えっ?』
「おな、か、いた…い。」
『おいっ、家康。腹が痛いって、まずくねぇか。』
『咲、出血してないか見て。』
『はっ、はい!』
『おい、ここでか!』
『家康様、じんわりと出血なさっています…。』
『政宗さん変われますか?
の上半身を高めにして寝かせてください。俺、でも飲めるような血止めの薬持ってきます。三成、信長様に知らせるんだ!
忍びでも鷹でもなんでもいいから、突然容態が悪くなって、子もも危ないかもしれないと。』
『申し上げますっ!』
『なんだよっ!今忙しい、それどころじゃ…』
『秀吉様から知らせでございます!』
『秀吉様から?』
三成が家臣より書簡を受け取り読み始める。
【一揆鎮圧、内政整備終了。安土へ戻る。】
『二日前ほどの文ですね。もう近くまで戻ってきているかもしれません!文を飛ばします!』