第8章 福を呼ぶのか、闇を呼ぶのか
政宗の用意してくれた小皿の甘味を少しずつ食べて、生姜湯を飲む。冷えてきた体が芯から温まっていくようだった。
信長様は寒くないだろうか。
きちんと食べて、眠れているだろうか。
ふぅ、と一息吐くと、傾く陽射しの中で吐息が白く変わった。見回すと安心できる顔ぶれが、優しく私を見詰めている。
見上げると、夕焼け色に染まりかけた青空だった。
早く会いたい。
そう思った。
※
愛する
夜襲の件、大事ないか。
貴様が泣いてはいないか、気にかかる。
家康、政宗、三成に城は任せている。
頼りになる奴等だ。
命を懸けて貴様を護るだろう。
体はどうだ。
食べているか
眠れているか
政宗、家康、三成と咲の言うことをよく聞き、暖かくして無理をするな
此度の出陣、早くおさめて戻る
そうしたら、産着を仕立てる反物を選ぼう。
幼名を考え、出産の話をしよう。
貴様の膝で眠り、貴様を腕に抱いて離さない。
二人で過ごす限りある時を大事にしたい
愛している
貴様の心の臓も血の一滴までもが俺のものであるように
俺の全ては貴様のもの
心はいつも貴様のもとに
織田信長