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暁の契りと桃色の在り処 ー信ー

第7章 かぐや姫の故郷


「出産は、家や御殿ではほとんどしない。お産婆さんや助産婦…、うーん。医術や出産を勉強した人達がいる診療所?病院、そういう専門の場所でするの。
10ヶ月…、十月十日(とつきとおか)定期的に、診察を受けて赤ちゃんの心臓や体がきちんとできてるか確認するの。」

『医術や出産を勉強した医師がいる施設か。
でも…、腹の中の赤子なんて産まれるまでわからないでしょ?』

「お腹に当てる機械…道具を使って、赤ちゃんの心臓や体の中を見ることができるの。
時期が来たら性別もわかるんだよ。」

『…腹の中を見る道具。想像出来なさすぎ。』

「だよね。友達が出産してちょっと聞いただけだから、私もわからないけど。
母親の血液の成分を調べたり、…あ、母親の体重も管理してたなぁ。太りすぎも良くないって。」

『血液の成分を調べる…、。
母親の体重はね、難産になりやすいから太らせないってのは聞いたことがある。』

「産まれたときに、病気を持っていないか調べたりもする。」

『…はぁ。500年後ってどんな世界なの?
医術が進歩して、出産で死ぬなんてないんだろうね。』

「…ない訳じゃないと思うけど、少ないと思う。

出産に父親になる人、私なら信長様が立ち合ったりもする。」

『はぁ?立ち合い?』

「うん。出産は夫婦の出来事だし、父親になるってのを実感するため、みたい。」

『信長様は…、無理じゃない? 言えば、立ち合うとか言いそうだけど秀吉さんあたりが止めそう。
ここでは、立ち合うなんて考えられない。』

「あ。…ねぇ、産まれてすぐ授乳は出来る?」

『え?乳母じゃなくて?』

「うん。」

『産まれてすぐ、っていうよりあんたが乳をあげるの?』

「私の時代に乳母なんていないの。どうしてもおっぱいが出ないなら、母乳の代わりになるものをあげるの。
母乳には栄養が沢山あって、産後すぐの授乳は赤ちゃんにとってすごくいいんだって。」

『へぇ…。信長様に聞いてみたらいい。あの人ならあんたの望み叶えてくれそうだけど。

なんか聞いてたら、あんたのいた時代は、この世の当たり前が通用しないみたいだね。
見てみなよ。咲の顔。』

家康が苦笑いしながら咲の方を向いた。
私も続けて見ると、目を丸くして口を開けたままの咲が見えた。















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