• テキストサイズ

暁の契りと桃色の在り処 ー信ー

第5章 朝焼けよ、三日月を照らせ



『夜襲なんて卑怯な真似を!貴様ら、覚悟してんだろうなぁ!』

政宗の兜の三日月と、抜刀した日本の刀が、朝日に反射する。政宗の覇気に踊るように、それは輝いて見えた。

『てめぇら!奥州の力、見せてやれ!』

『はっ!』

次々に、政宗の部下達が敵をねじ伏せ、斬り倒していく。

『家康、三成!生きてるか!』

『遅すぎますから!』

『お待ちしておりました。』

『知らせを受けて、早駆けできたんだけどな。
遅くなって、わりぃ。

俺の隊で潰す!家康は、の元に行け。三成は後方支援を頼む!』

『はいっ!』

政宗の精鋭による攻撃は、敵の予想を上回る早さで敵陣を崩した。
そして、呆気なく決着がつき、謀反を図った大名と家臣達は捕縛された。





『!!』

家康の声が聞こえる。
私は既に、手早い咲によって旅支度をされていた。
周りには佐助くんと、数人の仲間の忍の人達。
弥七さん、吉之助さん。

私は、泣き腫らした目を優しく拭う咲の腕を、逃がさないように必死に掴んでいた。

『了解。変わらず援護しよう。』

「佐助くん…?」

『朝焼けに三日月が照らされたって。一先ず、安心だ。』

「三日月…。ま、政宗?」

『!』

「家康、? 血だらけじゃない!」

『あ、あぁ。…それより、政宗さんが来たんだ。
もう、大丈夫。あの人に暴れてもらう。』

「じゃあ、越後には?」

『行かなくていい。』

「…良かっ、た。」

張りつめた糸が切れるように、体の力が抜けて、咲に支えられる。
咲に抱きつきながら私は、大声で泣き出してしまった。

吉之助さんと弥七さんが、ふぅと一息ついたのが聞こえた。

『家康公、我らも加勢します。俺とあと二人は、さんに。他は、皆、政宗さんのもとに向かわせました。』

『助かる。』

『、疲れたよね。もう、大丈夫だから。
休んで。痛みは?』

「…、少し。ごめん。」

『いや、心配かけさせたから。大丈夫。三成も平気。』

「良かった。」

『みんな、あんたの名前を呼びながら、劣勢なのに戦ってくれたよ。』

『うん。』


朝陽が眩しいほど、広間に降り注いだ。





/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp