第33章 ○その個性の名は
『…ごちそうさまでした』
「ごちそうさまでした!食器片付けに行こうか」
『…うんっ、……ひゃあっ』
「あー!ごめんなさいー!」
ちょうど席を立とうとしたら運悪く、後ろに人がいてコップの水を盛大に被ってしまった。
あろうことか、かけた本人はそのままどこかへ行ってしまった。
『…えっ、ちょっ…』
「癒月さん!…だいじょ、…っ!?///」
緑谷くんが私に近寄ってきて、ある一点を見たと思ったらそのままフリーズしていた。
目線の先を辿ると、私の胸元が水のせいでシャツが透けて下着があらわになっていた。
『…や、やだっ///』
慌てて手で隠すけど、このままじゃ食器を片付けられない。
こういう時に限って上着を忘れるなんて運が本当に悪い。
「ごごごごめんっ…えええと、そのままじゃ、あれだよねっ、ここここれ着ていいからっ///」
緑谷くんはなるべく私を見ないようにしてくれて、着ていた上着を貸してくれた。
『…で、でも、上着濡れちゃう…』
「それくらいどうってことないよ、そんなことより、癒月さんの方が問題だから、あ、嫌ならいいんだけどっっ」
『…そんなことないよっ、ありがとうっ緑谷くんっ』
私は、上着を受け取ってさっと着ると、先に行くね、と緑谷くんに告げて、急いで食器を片付けて教室へ向かった。