第38章 お酒を口実に / 激甘
「リルルちゃん?大丈夫?」
『は、はいっ、ご、めんなさ、迷惑かけて、しまって…』
「大丈夫だよ、ほら僕に捕まって…」
『は、はいっ』
緑谷先輩に支えられながら、タクシーへと乗り込んだ。
『…あ、の、私の家…』
「ここからだと、僕の家の方が近いから、休んでいって?」
『…えっ、で、でもっ』
「いいから、ほら着くまで寝ててもいいよ?」
『あ、ありがとうございます…』
お言葉に甘えて、私はそのまま瞼を閉じた。
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『…んっ…』
ふと、目が覚めて瞼を開けると、見慣れない天井と明かりが見える。
「あ、目が覚めたみたいだね」
『…緑谷、先輩?…ここは…』
「僕の家のリビングだよ? 気持ち良さそうに寝てたから起こせなくて…」
そう言われて、ぼーっとしていた頭が覚醒した。
『…ご、ごめんなさいっ! 重かったですよねっ、も、もう大丈夫なので、帰りますっ!』
がばっと、身体を起こして帰ろうとすると、緑谷先輩に止められる。
「ふふ、残念だけど、もう終電行っちゃったよ?」
『…そんなっ…ど、どうしようっ』
「良かったら、泊まっていきなよ? 明日休みだし」
『えっ、で、でも、これ以上ご迷惑かけるわけにはっっ』
「迷惑だなんて、思わないよ、それにリルルちゃんになら、迷惑かけられたいくらいだよ」
にこって、笑いながら言う緑谷先輩。
そう言われたら断ることなんて出来なくてお言葉に甘えることにした。
『じゃあ、あの、えっとお邪魔、しますっ…』
「うんっ!何もないけど、ゆっくりしてって?」
あれから、少し買い物したり、お風呂を済ませたり、またお酒を飲んだりして、寝ようとした時だった。