第38章 お酒を口実に / 激甘
「「『かんぱーい!!!』」」
今日は、重要な商談が無事に成立したご褒美として先輩達と飲みに行くことになった。
「リルルちゃん、ほんとお疲れ様っ!」
『いえ、私なんて何もお役に立てなくてっ…申し訳ないですっ』
「そんなことないよ!リルルちゃんのプレゼンがあったからだよ!ねっ、かっちゃん!」
「その、プレゼンは俺が用意したんだからたりめぇーだろーが」
営業の緑谷先輩と、爆豪先輩。
2年しか違わないのに営業成績トップクラスの2人。
そして、緑谷先輩は、私にとって憧れの人でもあった。
「今日は僕が奢るから、リルルちゃん何でも食べてね」
『は、はいっ!ありがとうございます!』
「…食うことより、俺に酒注げや」
『わわっ…ご、ごめんなさいっ』
「もーかっちゃんてば…」
他愛のない話や、仕事の話をしていたら時間はあっという間にすぎて、お開きの時間になった。
「そろそろ、お開きにしようか、あまり遅くなるとリルルちゃんは危ないしね」
『…は、はいっ…』
思いの外飲み過ぎてしまった。
あまりお酒が強くない私は、頭がぼーっとして返事するのがやっとだった。
「…大丈夫か?こいつ」
『…だ、大丈夫、です…っ』
「…っ⁉︎、っぶねぇ!」
立ち上がった瞬間、思うように足が動かず、倒れそうになったところを爆豪先輩に支えられてしまった。
『ご、ごめんなさっ、きゃっ』
「リルルちゃんっ⁉︎…ってうわっ」
爆豪先輩は、乱暴に私を緑谷先輩の方へ投げつけた。
「…デク、そいつ送ってやれや」
「言われなくても送ってくよっ」
「…はっ、そうかよ、んじゃ、ごちそーさん」
爆豪先輩が、ひらひらと手を振りながら去って行くのを緑谷先輩と見届けていた。