第31章 幕間 その4
***聴視点***
ある日、薬を抱えて歩いていたら、紅と紺兄が道端でじゃれあっていた。
見た感じ、紺兄が持っている写真機を紅が取ろうとしている。
『なにアレ…』
「あぁ、姉さん!お疲れ様です!」
『うん、お疲れ様~。紅と紺兄は何してるの?』
「あれですかい?まぁ、見ての通りなんですが…。姉さんは特殊消防隊の七曜表、ご存知で?」
『!あぁ、なるほど。次の七曜表で使う写真か~!紺兄は対抗意識を燃やしてて、紅は全力で拒否してるわけねぇ~』
「その通りで」
思わずクスクスと笑った。
あれは確か、浅草に戻る前の仮宿で、女性たちが盛り上がっているのを遠目に見たんだ。
思い出してみれば、「第7のは色気ヤバ~イ」なんて言っていた気もする。
第7で色気、とくれば紅だろうし、そんな紅はああいう企画に乗り気じゃないだろうから、さしずめ紺兄による盗撮だったんだろう。
それを今年もやろうとして、ああなった、と。
『んふふ。そういうことなら私は紺兄に加勢しようかな~』
「お!姉さんがいれば百人力ですね!」
『おや、期待には応えないとねぇ~』
後日、完成した写真を前に、紺兄とグータッチをした。
そのまた後日、紅と壮大な鬼ごっこをした。
悔いはない。
さーて、来年はどうしようかな~。
→“完全にはだけた着物を腕にとどめ、上げた片腕がギリギリ腰のラインを隠している”写真