• テキストサイズ

旗幟鮮明【炎炎ノ消防隊】

第30章 その計画は最初から破綻している


―――

数時間後、目を覚ました襲撃者たちは、まず肩を震わせ、次に悲鳴を上げた。

それは、襲撃に失敗した事実に気づいたからでも、浅草の破壊王の恐ろしさを思い出したからでもない。

かといって、襲撃場所からほど近い路地に放置されていたからでも、全身に負ったはずの怪我が綺麗さっぱりなくなっていたからでもない。

…視界に入る身内の髪型がえげつないことになっており、笑いをこらえるのに必死だったのと、ふと己も似たような状況になっているのではと思い至り、確認したためである。

ある者は、炎に焼かれたのか髪がチリチリになり、アフロに。

ある者は、中央部分を残して、左右が丸刈りにされており、モヒカンに。

ある者は、剃り上げる短さを変えることで合掌が描かれており、アート作品に。

ある者は、長い髪が災いしたのか、前頭部から頭頂部を剃り上げられ、ちょんまげに。

ある者は、薄毛を気にしていたのがバレたのか、スキンヘッドに。

ある者は、髪がある部分とない部分で横縞模様が描かれており、バーコードに。

とんだカオスだった。

実行犯は恐らくあの2人なのだろうが、なにせ証拠がないため糾弾できない。

…こういった精神攻撃を行うところが、新門 紅丸が八月一日宮 聴を“容赦のねェやつ”と評価する所以である。
/ 146ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp