第29章 女子会
***聴視点***
「そういえば、ずっと気になってたんですけど、聴さんと新門大隊長と相模屋中隊長ってどんな関係なんですか?」
話題を切り替えるためか、タマキちゃんから思い切った質問がとんで来た。
マキちゃんも目をキラキラさせてこちらを見ている。
『幼馴染だよ。なんの面白味もない答えで申し訳ないけど』
「幼馴染…!それまではただの友達だったけど、ふとした瞬間に感じた男らしさに惹かれて、想いが芽生えていく…!恋の鉄板じゃないですか…!!」
マキちゃんの背後にお花畑の幻が見えた。
これは、もしかしなくても、マキちゃんのほうが乙女脳だね?
『んー、まぁ、2人が魅力的なのは認めるけどね』
私が苦笑しながら答えると、目の前の2人は期待に目を輝かせる。
いやー、本当に申し訳ないんだけど…。
『でも、それだけ。私にとって2人は、大事な人で、替えの利かない存在で、家族みたいなものだよ。良い人を見つけて結ばれるもよし、浅草のみんなとワイワイ騒ぎながら楽しく過ごすもよし。気の向くままに、幸せになってくれればいい、ってのが私の希望かな』
笑いながら告げた言葉に、2人は少し落胆するも、素敵な関係ですね!と言ってくれた。
話題は尽きることなく、終始、色々な話で盛り上がり。
年上の責任として2人を第8の隊舎まで送り届け。
また今度を約束して別れた。
…さて、2人は気づいただろうか。
そんな素振りは見えなかったから、純粋に楽しんでもらえたと思うんだけど。
浅草を出てからずっとつきまとっていた、複数の視線と気配。
私を中心とした包囲網は、徐々に距離を詰めてきている。
それに少し気を留めながら端末でメッセージを送信し、帰路についた。
人の往来がなくなったな、と思ったところで複数の男に囲まれる。
あぁ、せっかくの気分が台無しだ。