第29章 女子会
「今回、シンラを助けてもらって、改めて凄い人なんだな、って思いました」
タマキちゃんの言葉には、とても実感がこもっていて、シンラくんの怪我が相当、重かったのだと分かる。
「先ほどの感じだと、ホァン大隊長とお会いになったことはないんですか?」
『私は原国主義者だからね。聖陽教と密接な関わりのある人とは、お互いのために近づかないって決めてるの』
苦笑しつつ、マキちゃんにノーと答えると、2人とも、それはそうですよね、と納得してくれた。
「…その、シンラの怪我を見たときに、聴さんのことも頭に浮かんで」
『お、それは少し意外。…あぁ、なるほど。ホァンさんと私のどっちが最適か、分からなかったってことね?』
口にするべきか否か、迷っているようなタマキちゃんの様子に、原因を考えて思い至る。
「すみません!失礼なことを聞いてしまって…」
『いや、気になるのは当然だから、気にしないで』
とは言ったものの、さて、どう答えたものか…。
『んー…、私は浅草の医者だし、ホァンさんを差し置いて、でしゃばる気はないかな。それに、紅みたいな第三世代能力者がいないと、すぐに対応できないし』
我ながら無難な回答である。
…余談だが、こんな感じの謙遜を浅草でやると
「ハァ?ゆーちゃんよりも優秀な医者ァ?ハッ!不治の病の1つや2つ、治せるようになってから出直して来な!!」
となるので、注意が必要である。
本当に余談であるが。