第3章 成果
『さて、それじゃあ早速始めよ~。紺兄、座ってるのと、横になるのと、どっちが良い?』
「なら座ったままで頼む」
『はーい。それじゃ包帯を取ってくださいな~』
紺兄が動き出したのを確認して、私は荷物から指先のない布製の手袋と一時間用の砂時計を取り出した。
紅は包帯をほどくのを手伝っている。
「…聴には見せたくなかったんだがなァ」
紅がおもむろに苦い顔をしたから、紺兄が何か言ったんだろうけど、あいにく口元が見えないため、私には分からない。
『紺兄、何か言った?』
「!あぁ、いや、なんでもねェよ」
背後にいる私にわざわざ顔を向けて、なんでもないと伝えてくる紺兄は苦笑していて、どこか複雑な気持ちになった。
ひとまず気持ちを切り替えて、紺兄の背中に近づき、まじまじと見つめる。
相変わらず大きな背中だなぁ、と思いながら、黒く変色している部分を確認していった。
紅はと言えば、紺兄の目の前にどかりと座り、こちらを観察している。
『紅~、私の両手の手袋、燃やしてくれる~?』
「…ん」
要求するなり両手に炎が灯り、さすがだなぁ、と感心する。
灯った炎をサクッと紫の炎に変え、しげしげとその炎を眺めた。
『紅、この炎の大きさ維持してね?』
「はァ?」