第3章 成果
疑問のこもった視線を無視して、左手の炎を試しにエネルギーに変換し、自分の身体に流し込む。
「!」
消えそうになる炎に気づいたのか、すぐに火力が元に戻った。
『さすがのセンスですねぇ~。これを1時間。両手分。大丈夫?』
「問題ねェ」
『おぉ~。これは1時間以内に終わりそうだねぇ。紺兄、肩に手、置くね~』
「おう」
紺兄が頷いたのを確認して、その両肩にそれぞれ手を置く。
『念のために聞くけど熱い~?』
「ははっ、聴の炎が熱くねェってのは忘れねェよ」
何と言われたのかは分からなかったが、とりあえず首が横に振られたのを見て、うむうむ、よろしいと呟くと紺兄がくくっ、と肩を震わせた。
『炎、広げるよ~』
一応伝えてから、両手の炎で紺兄の上半身を覆う。
『紺兄、一瞬でいいから炎、出せる~?痛まないようにこっちで調整するから~』
「肩だけで良いか?」
紺兄が振り返ったので口元を読み、そういえば紺兄は肩から炎を出してたな、と思い出す。
『うん、火力も弱くて良いからね~。さん、にー、いち』
私の合図に合わせて出された炎。
痛覚を遮断しつつ、気の流れで異常があった箇所を脳内に記憶した。