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旗幟鮮明【炎炎ノ消防隊】

第27章 翳り(かげり)


***紺炉視点***

座禅を組んでいる俺の全身を紫の炎が覆う。

この感覚にもすっかり慣れたもんだ。

ゆっくりと息を吐き出すと、俺の身体を観察していた聴の眼がこっちを向いた。

『疲れた~?』

「いや、そうじゃねェが…。むしろ、おめェこそ疲れてねェか?」

『んー…。疲れ、とは違うけど。やっとここまで来られた、とは思うねぇ~』

いつもの調子で告げられた言葉には、万感の思いがこもっていて少し驚く。

「聴…」

『灰病を、本当の意味で消し去れたわけじゃない。だから、これからも足を止めるつもりはない。けど…』

そこで言葉を切ると、聴は実家を眺めた。

『捨ててしまったものとか、取りこぼしてしまったものとかを思うと、もっと近い道があったんじゃないか、って思う。これから進もうとしてる道も、どれだけの犠牲が必要なんだろう、って思うと、気が遠くなる』

愁いを帯びた横顔を言葉もなく見つめていると、パッとこちらを向いたその顔から愁いが消えて笑顔がのぞく。

『紺兄としては複雑だろうけど。医者としての私が前を向いていられるのは、紺兄がいるから。紺兄の存在が、支えであり、進む理由であり、成果。…だから、紅のためにその命を使うことは、医者としての私も賭けることと同義だと覚えておいて』
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