第27章 翳り(かげり)
慣れる速度も、加減しているはずの火力も、過去の患者とは段違いだ。
これは日程を組み直さなきゃ…。
『…うん、型の訓練に入っても良さそうだね~』
「型の訓練って…」
『さすがに“紅月”レベルは駄目だよ~?軽めのやつから少しずつね』
「…」
脳内で予定を早めて、それを紺兄に告げると、我が耳を疑ってます、という顔をされた。
『ありゃ?大丈夫そうだと思ったんだけど~…。試してみたくない~?』
「…試していいのか?」
『私はそのためにいるんだから遠慮も心配もいらないよ~。何ができて、何ができないのか、ちゃんとはっきりさせとこう』
私の言葉に紺兄は、期待と不安が入り混じった顔になる。
今よりもできることは増えるだろうが、過去と同じことは恐らくできない。
私の力不足が原因なので、心苦しい限りだ。
どうにか、解決策を見つけるまでの時間を稼げればいいんだけど。
『刀と炎を使った戦闘も考えたいね~。もろもろやって形になったら紅と模擬戦、なんていかがです~?』
「そいつぁ、より一層、気合入れてやらねェとな」
紺兄は楽しそうに笑いながら、訓練を再開させるべく構えをとった。
ふふ、一緒に頑張って、紅を驚かせてやろうね。