第24章 第8の科学捜査官との邂逅
***聴視点***
2人からの視線が変わった日から数日。
今日は、知らない人間が1人増えていた。
白衣に爆発したような髪。
灰島の気配を濃く感じるからか、紺兄がめちゃくちゃ牽制している。
「おや?僕と似たような気配」
「「あァ?」」
やめときゃいいのに、その人はあろうことか私を見てそんなことを言ってきた。
案の定、紺兄と、少し離れていた紅までもが反応している。
『私は医者です。まぁ、研究者に近いってのは否定しませんけどね…』
「おや、これは失礼。自分はヴィクトル・リヒトっす。お嬢さんは?」
『八月一日宮 聴です。年上にお嬢さんはないでしょう…』
「えっ?」
『…私は26ですが?』
「えぇっ!?」
昔は腹が立ってたけどね、年下に見られると。なんせ舐められるから。
今となっては何も感じないけど。
「こ、これは失礼しました。…ん?八月一日宮…?あぁ!シンラくんたちから話は聞いてますよ!炎で治療するとか!」
紺兄がピクリと反応する傍らで、リヒト…さんは目を輝かせた。
「ぜひお話をしてみたいと思ってたんですよ!」
あぁ…、紺兄と紅の顔が険しくなっていく。
『それはどうも。…でも今日は、2人の特訓のためにいらしたんでしょう?』
シンラくんとアーサーくんに視線を移しながら懐を探って、目当てのものと、それを隠すものとを取り出した。