第23章 詰所の医者との手合わせ
***森羅視点***
聴さんは不思議な人だ。
浅草の人にしては雰囲気が柔らかい、というか、緩い。
それなのに。
「アーサー、その鞘、あいつに投げてみろ」
新門大隊長に言われ、アーサーが投げた鞘は聴さんに当たらなかった。
心ここにあらずと言った様子だった聴さんは、飛んで来た鞘をパシリとつかんで、不思議そうな顔をしている。
「すげぇ」
感心すると同時に、聴さんの実力が気になった。
「なぁ聴さん、アンタ強いのか?」
おい、アーサー!!!
俺も気になってはいたけど、聞き方!!
いや、でもこいつからしてみれば、さん、がついてるだけマシなのか…?
「…へっ。試してみりゃいいじゃねェか」
新門大隊長の言葉に目を見開いた。
「えっ!?試すって…?」
「おい、聴。せっかくだ。相手してやれ」
『んー…。2人はどうしたい?』
思わず新門大隊長に聞き返す。
当の新門大隊長は決定事項のように言い放った。
聴さんはそれをものともせず、少し考えた後、俺たちに尋ねてくる。
「やってみたい」
「ぜひお願いします!」
そんなの答えなんて1つだ。