第22章 命の呼吸
***聴視点***
さて、そんなこんなしてるうちにシンラくんとアーサーくんが来た。
来て早々に紅の洗礼を受けていたけど。
私は紺兄に勧められて、隊員でもないのに第7の隊服を着て、絶賛、見学中だ。
若と組手するかもしんねェんだろ?って、誰から聞いたの、紺兄…。
ちなみに隊服姿の私を見て、紅は顎に手を当てながら、紺兄は腰に手を当てながら、それぞれ満更でもない顔をしてたので、組手は口実だったのでは?という気もしている。
ま、私も隊服には多少の憧れがあったので、深く追求しなかったが。
― 閑話休題。
「常に気を抜くな」
と紅から言われ続けている2人だけど、まだどこかぎこちない。
まぁ、普通はそんなもんだ。
私の父でさえ、常に気を抜かない紅に感心してた。
兄2人に、紅を見習え、と言っていたのも覚えている。
…なんて3人から視線を逸らして昔を懐かしんでいたら。
なんかこっちに飛んできた。
反射的にパシッと手に取って見てみれば、筒…?
「「すげぇ」」
それが来た方向に目を向ければ、投げた格好のアーサーくんと、こっちを見ていたシンラくんから、そんなことを言われた。
…あぁ、これアーサーくんの鞘か。
でも、すげぇって…何が?
思わず頭に?を浮かべていれば
「聴の場合は死活問題だからなァ…。せいぜい気配を読まなくなるくらいだ」
と紅から言われた。
え、褒められてる?貶されてる?
『ごめん、考え事してた。私に用だった?』
「いや、いい具合に見本になりそうだと思ってなァ」
…紅が喧嘩売ってくるんですが。
少しムスっとしながらも、アーサーくんに鞘を返した。
へいへい、集中しますよー。