第21章 幕間 その2
***聴視点***
そんなことがあった数日後。
その日も前の夜は実家で過ごし、朝から詰所に顔を出した。
ん?ヒカヒナが妙に元気だ。
『ヒカ、ヒナ、何か良いことあった~?』
「「おう、聴!」」
「今日は森羅とアーサーのやつがくるからな!」
「どうやって遊んでやろうか考えてんだ!」
あぁ、そういえば紺兄が、対人戦闘なら紅だって、2人を呼んだんだっけ。
『紅にしごかれすぎて、死んでるかもよ~?』
「「んなの関係ねェ!」」
やんわりと優しくしてあげて、と言ったつもりだったが、伝わらなかったようだ。
シンラくん、アーサーくん、頑張れ…!
キュッと酸っぱいものを食べたような顔をしていると、頭上に感じる気配。
パシッと手でつかめば…、なんだ紅の手か。
…ん?紅の手?
疑問に思って振り返ると、少しムスッとした顔があった。
『おはよう、紅~』
「…ん」
『どうかした~?』
「…てめェ、最近、家で何してやがる」
『母の資料をもとに薬を作ってるけど~…?』
「…チッ」
なんだその舌打ちは。
紅は手を引っ込めて、やはりムスッとした顔を継続している。
『そういえば、シンラくんとアーサーくんに稽古をつけてあげるんだって~?珍しいねぇ~』
「あぁ…。めんどくせェが借りがあるからなァ…」
話題を変えてみれば、言葉とは裏腹に、どこか楽しんでいる様子。
うんうん、2人とも骨がありそうだもんねぇ。
きっと紅を楽しませてくれることでしょう。
「…てめェも付き合え」
微笑ましく紅を見ていれば、想定外な言葉が聞こえてきた。