第2章 帰郷そして再開
***聴視点***
さて、何はともあれ、今は目の前の火事だ。
怪我人もいることだし、ちゃんと仕事をするとしよう。
今なお燃え盛っている炎に右手を伸ばし、手前から紫の炎に変えて、細長くしながら手元に手繰り寄せていく。
手元に来た炎を左手で操作し、身体に沿うように羽織の形に成形する。
隣の紺兄からめちゃくちゃ視線を感じるので、顔を向けた。
『なるべく嵩張らないように炎を持ち歩こうと思ったら、これが一番だったんだよねぇ~』
「…そういや昔、風船みたいにして持ち歩いてたことあったな」
『そうそう、それの進化版~』
炎を回収し終わったので、怪我人のもとに小走りで向かう。
「あ!?よく見たらゆーちゃんじゃねェか!!いつ帰ってきたんだ!?」
『今さっき~』
「ハハッ!こりゃー、いい!!早く皆に知らせねェとな!」
『それはいいけど、怪我を治してからねぇ~?』
「お、治してくれんのかい!いやー、ありがてェ!」
まぁ、こんな会話をしている間も、もちろん治療していたのだが。
たいした怪我ではなかったので、3分くらいで終わった。
「こいつァ、たまげた!腕上げたねェ!」
『どーよ。でも安売りはしないかんねぇ~。怪我しないように気を付けてよ~?』
「わァってるよ!ありがとな!!」
似たような会話を繰り返しながら、この場にいる怪我人は全員治療し終えた。
炎が切れてしまったので、詰所に怪我人がいたら炎を起こさなきゃ…。
ずっと私の後を付いてきていた紺兄が再び頭を撫でてくる。
『ん~?なぁに~?』
「随分でかくなって帰ってきやがって」
『紺兄は雰囲気が丸くなったよねぇ~』
「落ち着いた、な?」
頭を撫でる力が強くなった紺兄に、くふくふと笑った。
さぁて、久しぶりの詰所に帰ろうか。