第2章 帰郷そして再開
「…おちょくってんのか?あァ!?」
「おい、紅!」
私の胸倉をつかんで睨んでくる紅を、紺兄がおさめようとする。
『…何があったか知らないけどさ、殴るなら確かめてからにしてよ。それとも可能性すら見捨てて泣き寝入り?ねぇ、若旦那?』
私もすごみ返せば、奥歯をギリと噛みしめた紅は、私を突き飛ばすようにして手放した。
「…上等だァ。今夜、紺炉の部屋に来い」
そう言い残し紅は去っていく。
「はぁー…。悪いな、聴。けど、お前も煽ってどうする」
『あんなヘタレな紅を見るくらいなら、喧嘩したほうがマシだと思ったの~。…ってのは、うん、なしだよねぇ~…。ちゃんと夜までには頭冷やすからさ~、許して?』
困り顔で紺兄に向かって両手を合わせれば、仕方ないな、という様子で頭を撫でてくれた。
「にしても良く分かったなァ?俺が灰病だって」
『ふふ~。伊達に10年、ここを留守にしてませんって~』
仕上げと言わんばかりに頭をポンポンと撫でられ、私の機嫌はすっかりと元に戻る。
「期待してるぜ、聴」
優し気な瞳で言われ、私は密かに気合を入れなおしたのだった。