第16章 消防隊に入らない理由
『私の能力を認めてくれてありがとう。何かあったらいつでも頼ってね。紅と紺兄から、私はもう必要ないって言われるまで私は浅草にいるから』
少し重い話になってしまったので、ニコリと笑って誤魔化す。
目の前のアーサーくんはすっと目を閉じると
「ふっ、なるほどな。人それぞれというやつか」
と言った。
うーん、あんまり理解してもらえなかったかな…?
「…ハッ、生憎だがこいつを手放す気はさらさらねェ」
紅の手が私の頭をガシっとつかんだ。
うん、紅さんや、ちょっと痛いです。
「聴のことが必要なくなる日なんざ一生来ねェよ」
紺兄の手は私の左肩をつかんでいる。
うん、紺兄もちょっと痛いです。
え、なに、もしかして2人とも、お怒り?
え、地雷踏んだ?
冷や汗をかきながら苦笑している私を見て、マキちゃんの目がキラキラと輝いた。
「「聴さん!!」」
『え、は、はい』
マキちゃんとタマキちゃんがぐっとこちらに近づいてくる。
その圧に押されたのか、紅と紺兄の手が離れた。
これは、助かっ…てないよね?
「今度、私が浅草に来たら、一緒にお茶してください!」
「わ、私も!いろんなお話を聞いてみたくて…!お願いします!」
マキちゃんとタマキちゃんの提案に思わずキョトンとする。
『…ふっ、あはは。なんだそんなことか。うん、喜んで。なんなら連絡先も交換しようか?』
「「是非!!」」
そんなこんなで私は、可愛い2人の連絡先を手に入れたのだった。