第16章 消防隊に入らない理由
***聴視点***
「第8に戻るのか?お前らには世話んなったな!」
「「なったな!」」
第8が拠点に戻るというので、玄関でお見送りだ。
このタイミングで帰るということは、やはり収穫はなかったんだろう。
それはそれとして…。
紅と紺兄のことだし、このまま帰すとも思えないけど。
「…フン。紺炉ォ、アレ持ってこい!」
「へい」
あぁ、やっぱりね。
思わずニコニコと成り行きを見守った。
「皇国の消防隊は気にいらねェが、第8は気に入った!」
うんうん、だいぶお世話になったもんねぇ…。
紅とオウビさんが盃を交わすのを見守った。
さて、紅のあの顔を見て、どんな反応をしてくれるかな?
あえて何も言わず傍観していると、思った通りの反応を返してくれて、くつくつと肩で笑う。
紅が笑顔のままこちらを向いたので、コホンと1つ咳払いをして笑いをおさめた。
まぁ結局、シンラくんが爆笑しちゃって、紅の機嫌は急降下したんだけど…。
「あ、聴さん、捕まえた人たちのことなんだが…」
『聴取はこれからです。まぁ、大した情報は出ないと思いますが。どなたか派遣されますか?報告書を上げる形でも構いませんが』
「昨日聞いた話も込みで、報告書をもらってもいいかな?」
『分かりました。聴取後の彼らの処遇はそちらにお任せしますので、よろしくお願いします』
「了解だ。すまないね、助かるよ」
うーん、オウビさんは抜け目ないねぇ…。
「あ、あの!」
さて、真面目に報告書を書きますかねぇ…、と遠い目をしていたらタマキちゃんから話しかけられた。