第15章 情報提供 その2
全員が腰を落ち着けたところで、オウビさんが口を開いた。
「改めまして。俺は第8の大隊長をやってます、桜備秋樽といいます」
『ご丁寧にありがとうございます。そういえば名前を伺ってませんでしたね』
こちらとしては知っていたので、特に何も感じなかったのだが。
流れで全員の名前を教えてくれたので、これからは名前で呼ぶとしよう。
「早速なんですが、聴さんは伝導者についてどの程度、ご存知ですか?」
『うちのトップ2人が知ってることは知ってますよ。今回の騒動も伝導者の仕業ですよね?』
「そうです。それで」
話を続けようとしたオウビさんを、片手を上げて制する。
『紅、入ってきてくれたほうが助かる』
襖のほうに視線を向けながら告げれば、襖がスッと開いた。
「寄ってたかって、うちの医者に何の用だ?」
「!新門大隊長!いや、これは」
「ハッ、冗談だ。真に受けんじゃねェ」
紅は私の横にドカリと腰を下ろし、面倒そうにため息をつく。
「焔ビトの身元は?」
『割れたよ。今夜のことを踏まえて、もう少し調べたいけど』
「昼間の件は?」
『黒。だから第8と情報のすり合わせがしたい』
聞くなり考え込むように黙り込んだ紅。
沈黙は肯定の意だ。
『ひとまず、先に私から話をさせていただきますね?』