第15章 情報提供 その2
***聴視点***
全員の治療を終え、伸びをしながら廊下を歩く。
炎に余裕をもって治療を終えられたのは僥倖だった。
余った炎は様子見に来ていた紅の疲労回復に使い、もれなく本人から睨まれた。
発火限界までいったんだから、ありがたく受け取んなさい。
休む前に医務室の薬の在庫を確認しとくか、と思ったところで、第8の面々と鉢合わせた。
「お疲れ様です」
『ありがとうございます。皆さんもお疲れ様でした』
朗らかな顔のオウビさんから言われ、こちらも少し笑顔を意識しながら返す。
しかしここで鉢合わせるとは、私に何か用だろうか?
「こんな時間にすみません。少しお話を伺いたいのですが」
『私にですか?』
「はい。相模屋中隊長があなたは情報通だとおっしゃっていたので」
『…なるほど。こちらへどうぞ』
空いている部屋に通しつつ、全員で来たからには伝導者絡みだろうと推測する。