第14章 信頼
『死なせやしないから安心しなよー』
こっちを見ることなく告げられた言葉に、随分と頼もしくなったもんだと感心した。
「あ、あの!新門大隊長!俺たちも何かお手伝いを…!」
「…いや、気持ちだけもらっておく。聴があぁ言うなら問題ねェだろ。おめェらはゆっくり休んでくれ」
「本当に信頼しているんですね…」
森羅の提案を断った紅に、桜備が感嘆の声をもらす。
「聴は、助けられない可能性が高い場合は前もって言う、と宣言してるやつだからな。気休めでもなんでもなく、本当に心配いらねェんだろ」
俺が補足すれば、第8の表情がようやくほぐれた。
「そういえば、ずっと気になっていたんですが、あのオシャレな炎の羽織は一体?」
「私も気になってた!聴さんって第3世代能力者ですよね!?どうやったらあんなに緻密な炎操作ができるんだろう…」
茉希と環が聞かずにはいられない、とばかりに質問してくる。
俺と紅は顔を見合わせ
「「いいや、あいつは第2世代だ」」
と根本的な間違いから訂正した。
「「「えぇぇっ!?」」」
女2人と森羅から驚きの声が上がる。
他の3人も声こそあげなかったが、驚いてはいるようだ。
「あいつは昔から、炎の操作能力がいい意味でいかれてやがった」
「聴の炎は本来、治療専門でな。手元に火がないと不便だから、とか言って、大事にはあの格好で炎を持ち歩いてんだ」
唖然とする第8。まぁ、無理もねェな。
とはいえ、どこまで話していいもんか分からねェ。
詳しいことはあいつから直接聞いてやってくれ、とその場はお開きにしたのだった。