第13章 良い度胸だねェ、弓兵さん?
視界にとらえたのは弓使い。
その矢が狙う先なんて見なくてもわかる。
矢が放たれる前に、と急いだが、こちらに気づいた弓使いが一足早く矢を放ってしまった。
弓使いはバッと後ろに引き、そいつが元居た場所に私は着地。
仕方ない、と炎の矢を自分の炎に変換しようとしたところで、何かを感じ取ったのか弓使いから攻撃が飛んで来た。
…仕留める必要はない。しばらく動けなくなればそれで良い。
矢の形や速度はそのままに炎を変換して、自分の周りを旋回させる。
念のためにと持ってきておいた炎で勢いを上乗せして、相手に打ち返した。
「!」
相手は一瞬怯んだが、すぐに矢を構えて放ち、相殺される。
けれど隙としては十分。
気配を殺して背後に回り、回し蹴りをお見舞いした。
敵が突っ込んだ家屋がガラガラと音を立てる。
捕獲は後だと、急いで紅の方へ視線を向ければ、シンラくんが矢を蹴り飛ばそうとしていた。
『は!?え、シンラくん…!?』
もしかしなくても、地上から矢に追いついた!?
うひゃ~…、アドラバーストは伊達じゃないってことね…。
思わず見とれていると、紅の纏に突き上げられている鬼の角から、シンラくんに向かって炎の球が打ち出された。