第13章 良い度胸だねェ、弓兵さん?
私はあの後、とりあえず、と詰所に戻ってきた。
どこか嬉しそうにしながら仕事をする紺兄にほっこりしつつ、怪我人の手当てを請け負う。
この調子なら、火事と焔ビトはなんとかなりそうだ。
…問題は町のはずれでぶつかっている殺気。
先ほどまでシンラくんとアーサーくん、そして知らない2人分だったのだが…。
ここにきて知らないほうの殺気のうち1つが跳ね上がった。
手を貸しに行くべきか、と悩んだけど、そこに紅のものが参戦したため大丈夫か、と思い直す。
とはいえ気になるものは気になるので、怪我人の処置がひと段落したところで、外に出た。
紺兄が梯子に上がり、指示を飛ばしている。
よっ、と屋根に上がり町を見渡していると、空に昇っていく一筋の炎。
『ほぁ~…。相変わらずの火力だねぇ~』
頼もしく思いながら見上げていると、突然、紺兄が発火能力を使った。
『紺兄!?何して』
文句を言おうとして、大きな殺気に隠れて気づけなかった、もう1つの殺気にようやく気付く。
『チッ…!』
思わず舌打ちをして、力の限り屋根を蹴った。