第12章 自分にできることを
炎操作をメインでやりつつ、人探しも同時進行でやっていたら、背後で派手な爆発があったのか空気が揺れた。
ん!?と思って振り返ると、櫓が宙に浮いている。
…うん?櫓が宙に浮いてるね?
『あっはは!紅か~!派手だねぇ~』
あの様子からするに、我らが破壊王は腹をくくったようだ。
紅が櫓のてっぺんから呼びかけたのか、町の人たちの空気が変わった。
『…あぁ、惜しいなぁ~。さすがに見えないや』
火事で明るいとはいえ、夜の闇に浮かぶ紅の口元はさすがに見えない。
それでもと目に焼き付けるように眺める。
紅の背後に手打ち花火があがった。
…うん?なんで?
思わず感傷的になっていたのがいけなかったのか、花火の意図がわからず首を傾げる。
屋根の上から通路を覗くと、いたるところで殴り合いが始まっていた。
『…あはは、浅草らしいねぇ』
恐らく紅の指示だろう。
だいぶ強硬手段な気もするけど、これで第7は消火と焔ビトに集中できる。
『…さ~て、私も知らせるとしますかね~』
ようやくヒカゲがいる家を特定できたので、頭上に炎で大きな狐を作り、踊り回らせた。
「聴ー!!!」
するとすぐに、マキちゃんとタマキちゃんを連れたヒナタが駆け寄ってくる。
わりと近くにいたみたい。
ヤッホ~、と屋根の上から手を振ると、ドカンと室内で炎が起こり、人が吐き出された。
何やら文句を言いながら、ヒカゲも出てくる。
合流した双子はヒッヒッヒ!と良い笑顔を浮かべていた。
この後は双子の独壇場だった、とだけ記しておこう。