第11章 ご退場願います
「ひゃっひゃっひゃ!」
「ちょっと落ち着け…、第8」
『んー、もうそろそろだと思うんだけど…』
ヒナタは良いザマだとばかりに偽物を笑い、紺兄は第8を諌めている。
私はといえば、着物の袖で偽物の顔をパタパタと仰いでいた。
アーサーくんの冤罪を早く解いてあげないとね。
『お、おぉ~…』
偽物の顔がボコボコと歪み、元に戻り始める。
周りが固唾をのんで見守る中、ようやく本当の顔が暴かれた。
「えっ?小さいおっさん…?」
「あれはヒカゲじゃねェ!」
「だから言ってんだろ」
「こいつは一体…」
前から順にシンラくん、ヒナタ、アーサーくん、紺兄。
『ヒカゲに化けて来るとは良い度胸だねぇ~。…しっかし、思ったより自由度が高いな。いじり方は分かったし、今度やってみようかな』
困惑顔だった紺兄が私のセリフを聞いて、ぎょっとした。
「頼むからやめてくれ、聴…」
『あはは、やっぱ駄目か』
紺兄のゲンナリとした顔を見て、やるなら浅草の外でやろう、と思った私です。