第11章 ご退場願います
***聴視点***
下手人を問答無用で気絶させ、蟲入りのビンの有無を確認してから地面に転がす。
『縄で縛って詰所に運んどいて!』
「へい!!」
若い衆に縄を放り投げながら作業をお願いして、改めて屋根の上から町を見渡した。
やれやれ、単純作業だけど数が多いから骨が折れる…。
一旦、紺兄と合流するか、と気配を探したところで、紺兄の近くにある気配に片眉があがった。
おいおい、ちょーっとその距離は見過ごせないなぁ?
自分の周囲に下手人がいないのを良いことに、紺兄の元まで屋根の上を走る。
そのまま屋根を蹴って、ザッと紺兄たちの進路上に降り立ち、合流。
「聴か。どうした、なんかあったか?」
『ん、ちょっと気になることがあってね』
「気になること?」
話しながら歩けば、紺兄が前を見ながら足を止めたので、私も自然と足を止めて紺兄の視線を追った。
「てめェー!なんなんだその面はよ!」
「てめェこそなんなんだ!」
「「きさまー!!」」
私は混沌を目の前にチラリと横を盗み見た。
紺兄と第8の面々が、唖然としている。
まぁ、無理もない。
私にはそう見えないが、ヒカゲとヒナタが言い争っているように見えているはずだ。
「こらこら君たち」
第8の大隊長が2人を諌めようと声をかける。
「おい、やめろって」
シンラくんもどうやって止めようか、と手を浮かせていた。
「ヒカとヒナが喧嘩たァ、珍しいな…」
紺兄も困惑してる。
まぁ、あれが本物同士だったら相当珍しいよね…。
「「えぇん!?」」
「ヒカじゃねェ!ヒカじゃねェ誰かだ!」
「ヒナじゃねェ!ヒナじゃねェ誰かだ!」
「なに言ってんだ?」
シンラくんが怪訝な顔してる。