第9章 情報提供 その1
『さて、急いだほうがいいみたいだし、私は行くよ。紺兄はどうする?』
「今のを聞いて寝てるわけにはいかねェ。俺も聞き込みに行く」
私が腰を上げたことで、紺兄も布団から抜け出し着物を整え始めた。
正直安静にしていてほしいが、私だけじゃ統率力が圧倒的に足りないのも事実。
仕方ないと諦めて襖に向かい、廊下へと足を踏み出して振り返る。
「我々も協力するわけにはいきませんか?」
紺兄の背中に第8の大隊長の声がかけられた。
「…構わねぇよ。俺がついていってやれば問題ねぇだろ」
少し振り返った紺兄が発した言葉に、私はゆっくりと笑う。
どこか嬉しそうな顔をしている第8の大隊長を見て、頼もしさを感じたのだった。