第2章 帰郷そして再開
「!おい、今のうちだ!!中に残ってるやつを引っ張り出せ!」
「!!へい!」
聴が道の中央を譲り、そこを若い衆が駆けていく。
中に残っていたやつを背負ったり、肩を貸したりしながら戻ってくる様をハラハラと見守った。
『…ありゃ。お~い、最後の兄ちゃ~ん、急いで~』
「これでも急いでらァ!!!」
上を見上げていた聴が、やや声を張り上げつつ、最後のやつを急かす。
「おいっ!崩れるぞ!!」
誰かの叫ぶ声が聞こえたと同時に、建物が崩れ落ちた。
最後の1人が道半ばなのをみて、全員が急げと叫ぶ。
『しゃ~ないなぁ…。受け身取ってね~』
そんな最中でも慌てているのかどうだか分からない聴が、何事か言いながら右手をゆるりと持ち上げて、ぐっと引き寄せた。
「えっ!?どわァッ!!!」
すると何が起こったのか、走ってきていたそいつが何かに押し出されるようにして、こっちに向かって放り出された。
「おい!!?」「危ねェッ!!」
慌てて受け止めた、というより巻き込まれて押し倒される数人の若い衆。
ひょいとこちらに戻ってきた聴の背後では、ガラガラと瓦礫が炎を押しつぶしていく。
それらを見て、俺はようやく息を吐き出した。
「なんだかよく分からねェが、助かった、聴」
『ん~』
ほやほやとした笑みを浮かべた妹分の頭を、俺はポンポンと撫でた。