第8章 隠密のち般若
***紺炉視点***
聴に手早く手当てをされ、布団に叩き込まれる。
途中
『あー、薬が足りない…。ちょっと家から取ってくるから、とりあえず包帯だけ巻いとくね』
と言われ
『戻ってくるまで、大人しく、寝ててください』
と釘を刺された。
紅も紅で、聴の無言の圧力により額の処置をされ
『監視よろしく』
と言い渡されたため、しばらくこの場から動けなくなった。
聴の背後に般若が見えるのは俺だけじゃねェようで、場を静寂が支配する。
当の本人は第8の大隊長に人数分の濡れタオルを差し出すと
『怪我の処置が必要であれば後ほど仰ってください』
と言い残して退室していった。
場の空気がやや弛緩したところで、両者の話を聞いていく。
聞けば聞くほど、きなくせェじゃねェか…。
それに、紅の見間違いでもなく、第8が嘘をついてるんでもねェとすると、数日前にあった偽物騒ぎと繋がってきやがる。
「紺炉に免じて今は勘弁しといてやる。町の人間に話を聞いてくる。疑いが晴れるまでここを離れるなよ」
「若!聴の帰りを待って、話を聞いたほうが良くないですかい?」
「…じっとしてらんねェんだよ」
そのまま出ていっちまった紅を見て、俺はため息をこぼした。